むかしむかしのそのまたむかし

―――むかし、むかし。

とあるところに、葦が生い茂るとても美しい島がありました。
誰でも、美しいものは大好きなので、この島を自分のものにしようと人々は土地を奪い合うようになりました。

きっかけはささいな小競り合いから。

だんだんとケンカでは済まされなくなり…

陣地取りの為に、「いくさ」をするようになってしまいました。

こうなってしまっては、戦の勢いは止まることを知りません。
東を向けば血を流して倒れている人が目に入り、西を向けば草木が枯れ村が焼ける臭いがします。
北へ行っても、南へ行っても、戦、戦、戦…

あれ程美しい島だったのに、戦の絶えない哀しい島になってしまいました。

島をお作りになった神様も、この様子にたいそうお嘆きになりましたが、何をするでもなく、ただじっと見守っておいででした。